自分の文章を磨くということ

日本に帰国した際、イオンモールの中にある大きな書店で、次の新書を見つけました。

  • 【作家名】辰濃和夫さん
  • 【生年月日】1930年(昭和5年)1月
  • 【ご紹介本】「文章のみがき方」
  • 【出版社】岩波新書
  • 【作家の経歴】
    ・朝日新聞ジャーナリスト(天声人語作者)
    ・朝日カルチャーセンター社長
    ・日本エッセイスト・クラブ理事長

私は今まで好きな本を乱読してきましたが、一冊も「文章の書き方」という教則本的な本を読んだことがありません。
文章を書く機会は結構ありましたが、全て「我流」で通してきました。

強いて言うなら、「主語」と「述語」がちぐはぐにならないように、ただそれくらいを注意しながら書いてきました。
あと、変に長い文章にならないように、そして適度な改行を入れて文章の形を見やすくしたり。
だいたい皆さんがまず最初に注意をされるようなことを、私も下手くそながら気を遣ってきたかなと思います。

「作家になりたい」と思い立ち、人に認められる文章を書きたいと思うようになりました。
しかし、自分の文章がどう人の心に届くのか、人の心を動かすのか、よく分かりません。
文章は人そのものを現すと言えども、私の書く文章が自分をどう表しているのか、あまりピンときません。

そんな矢先、書店で見つけた「文章のみがき方」。
タイトルが今の私にとってど真ん中のストライクでした。

何気なく手にとってページをめくってみると、

「本を書く」

為にどういうことに注意をし、どう言う考え方を持って、具体的にどうすれば良いのか・・・
優しく、分かり易くかかれてあります。

文章というものに正解とか間違いとかは無いと思う。
その時の書き手の気持ち、考え、思ったことをそのまま気取らず衒わずありのままに書く、まずはそこから始めれば良い。

辰濃さんが丁寧に解説してくれています。
私は、この本を読みながら考えました。

書くことが大切、
毎日書くことが大切、

しかし、もっと大切なことは

「書きたいと思う衝動に駆られて書く」

この状態がとても大事だと思います。
周りの人に伝えたいことがある、もう書かずにはいられない・・・
こんな気持を持ち続けることができれば、大作家になるんだろうな。

「書かずにはいられない」という思い、完全に頭に火が付いている状態になるにはどうしたらいいんだろう。
自分がのめり込む程興味があることについて、書けば良い。
のめり込む程の興味がもし何事に対してもなければ、自分の興味を育てることから始めないといけない。

何も興味が無いことなど・・・有るはずが無い。

一つだけ、自分が自分に対して自信があることが、実はあるんです。

10年ほど前、以前住んでいた街の住人で僕より10歳くらい年配のおばちゃんとたまたま話をしていた時のこと。
ほとんど会話をしたことが無い、初対面のときでした。
そのおばちゃんが僕にこう言いました。

「私、駅前通りの商店街にアーケードを付けたいの。
今のビジネスを成功させたら、必ず付ける。おじいちゃんおばあちゃんが一杯住んでいるからね。
雨が降っても買い物できるようになると、みんなきっと喜ぶね」

この言葉をごく自然に、ええかっこうしいではない自然体で楽しそうに話してくれました。

それを聞いた時、涙が溢れてきて仕方がなかった。

あまりに自分勝手な私だったので、「人の為にしてあげる」という行為を「自分の夢」のように語るそのおばちゃんの純粋な気持ちに感動してしまいました。

たぶん後で気がついたんですが、自分のことしか考えてこなかった私は、心の底から人の為になりたいという気持だけは溢れるくらいあったんだと思います。
人の為に何かをするという行動には結びつかないんだけど、でも何か人の為に役に立ちたいとはずっと思い続けていたと思うんです。

自分より年上のおばちゃんのささやかだけど素晴らしい夢。
そのおばちゃんの純粋な想いに触れたとき、泣けた自分がちょっとだけですが、嬉しかったのを覚えています。

お金がなく、家族に苦労をかけていた時。
これから先、なんの展望も見えなかった時。
消えない借金に押しつぶされそうになっていた時。

しかし、人の事にお金を使う余裕など全くないのは同じ境遇であるはずの、そのおばちゃんの夢がなんて優しい・・・
なんでも良いから自分もおばちゃんのような「地に足の付いたささやかな夢」を持ちたい。

「俺にも多少は純粋な心があるんだ。なけりゃ涙など出てこなかったはず」

その時泣けたことだけが、今の自分を支えているような気がします。
そして、本を書く仕事を通して、読者が自分の思う何かに触れて、私が流したような涙を届けることができたら、なんと幸せな仕事だろうと思います。

文章を磨くことと同時に、私の何でもいいから何かに対する「想い」を育んでいくことが大事だ・・・

「目から鱗」
「想像を絶する」
「あまりの感動に震えが止まらない」
「一人になった時、気がついたら泣いていた」

心の箍を外して、その奥に眠っている自分自身の深層心理に直接働きかけること。
そんな体験を大切にしていこう。

日常の仕事に振り回されるな。
営利目的の仕事は、俺の魂を揺さぶる程の感動などとは縁遠いものだ。

組織の歯車に成り下がる人生から早く抜け出よう。

心のそこからわき出る想いを文章にしてぶつけることができたとき、一番読み応えがあるはずだ。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です